『リーディングズ情報社会』「情報ビジネスの未来」

公文俊平編『リーディングズ情報社会』, Dertouzos, Michael L. What will be.(邦訳:伊豆原弓「情報ビジネスの未来」)NTT出版、2003年, pp284-303.

【要約】
情報市場では、規模に関係なくすべての組織やすべての個人が、情報と情報サービスの供給者となると同時に消費者になる。こうした人々の間で特に重要なのは、情報を国内外に輸送するパイプをめぐる覇権争いについての問題である。この争いの中で企業は得意分野に的をしぼって事業を展開する必要がある。そして、どの企業も、競争相手と協力して共通の情報インフラを構築する必要がある。情報インフラが整備されれば、どの企業もそれを利用して、得意分野で豊かな創造力、貴重なノウハウ、さらに直感を活かすことができる。どの分野も複雑で、市場規模や将来性が大きいため、誰もが挑戦し、富を得つづけられる余地がある。
情報市場の基盤が情報であることは言うまでもない。ところが、情報とはなにかを定義することは難しい。しかしながら、情報市場にとって重要なのは、人間がいくつかの異なるレベルで情報を扱うということ、情報にはモノとしての情報とプロセスとしての情報があるということ、そして、情報はそれを入れた物理的媒体とは別物であるという情報の特性についての理解である。

慶應義塾大学総合政策学部 川村真哉