『リーディングズ情報社会』「知識社会の衝撃」

公文俊平編『リーディングズ情報社会』, Bell, Daniel. The impact of intellectual society.(邦訳:山崎正和・林雄二郎「知識社会の衝撃」), NTT出版, 2003年, pp210-233.

【要約】
農耕社会では自然環境をいかに活用するかということが問題となり、工業社会ではエネルギーを集約的に利用することが問題となった。そして、情報社会においては知識や情報をいかに活用するかということが問題となる。情報化時代においては、情報をデジタル化することによって、効率的に情報や知識を活用することが可能になっている。これまで日本企業は、製品を「開発」し、その能力に基づいて製品を「生産」する能力で世界トップの座を占めてきた。こうした経済的成功は戦後日本のプライドと権利の源泉であった。しかし、今日それが揺らぎ始めようとしている。日本は今後どのように国民の新たな意思を形成し、社会のまとまりを維持していくかということが問題となる。

慶應義塾大学総合政策学部 川村真哉