『マクドナルド化した社会 果てしなき合理化のゆくえ 21世紀新版』

Ritzer, George: The McDonaldization of Society, Revised New Century Edition.Pine Forge Press,2004(邦訳:正岡寛司 、『マクドナルド化した社会 果てしなき合理化のゆくえ 21世紀新版』早稲田大学出版、2008年)

【要約】
マクドナルド化現代社会に最大の影響力を発揮し、非常な発展を遂げた発明の一つである。マクドナルド化の反響は、発祥地のアメリカをゆうに超えて拡張し、またファーストフード業界というルーツを離れて拡張している。マクドナルド化は世界のかなりの部分におけるさまざまなビジネスやライフスタイルに影響をおよぼした。
マクドナルド・モデルの成功要因は、消費者、従業員、そして経営者に、効率性、計算可能性、予測可能性、制御の4つの魅惑的な次元を与えていることにある。
このモデルは質を量(大きさ、時間、費用)で表現した上で、限られた選択肢の中からいつでも・どこでも・誰でも同じモノをマニュアルや機械を用いて効率的に提供することを通じて人々を惹きつけている。
マクドナルド化は大きな利点を人々にもたらした。しかし、このモデルは合理的であるがゆえに非合理的な側面を併せ持っている。
この合理性については、ウェーバーがいかにして欧米が合理的になっていったかについて記述している。彼は官僚制に注目し、この制度が合理性のもたらす非合理性という欠陥を持っている点を指摘した。
合理的なシステムと考えられているものが合理的なシステムでないことは多い。こうしたシステムは効率を強化することによって、むしろ非効率、相対的に高い代価、幻想的な楽しみと幻想的現実、見せかけの友情、脱魔法化、健康や環境への脅威、均質化、そして脱人間化の重大な問題を頻出させるのである。
しかし、利潤を追求する企業は依然として、マクドナルド化を徹底的に追求する。経済的要因がマクドナルド化の根本には存在するのである。マクドナルド化は、多くの人びとや企業がマクドナルド化そのものを目的として追求するほど好ましい過程になっている。個人であれ、制度の代表者であれ、多くの人々は効率性、計算可能性、予測可能性、および制御を高く評価し、そして経済的利益が得られるか否かにかかわらず、やっきになってマクドナルド化を求めるようになっているのである。

慶應義塾大学総合政策学部 川村真哉