『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス』「次世代のイノベーションを生む製品のモジュール化」

Carliss Y. Baldwin and Kim B. Clark, “Managing in An Age of Modularity,” Harvard Business Review, September-October 1997, pp. 84-93(邦訳:坂本義実「次世代のイノベーションを生む製品のモジュール化」『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス』1998 年 12・1 月号, P130〜141.)
次世代のイノベーションを生む製品のモジュール化 - ダイアモンド ハーバード ビジネス ライブラリー
【要約】
コンピュータは色々な機能が集まって一つの製品となっている。入力機能を担当するキーボード、出力機能を担当するディスプレイ、情報を一時的に保存しておく機能を持つメモリ、情報を処理する機能を持つCPU、情報を長期間保存しておく機能を担当するハードディスクなど色々な機能が集まってコンピュータという製品になっている。それぞれの機能はそれ自体に価値がある。しかし、一つの機能は他の機能とつながることによって、その価値が大きくなる。
ところが、異なる機能を持つモノをつなぐことは簡単ではない。なぜなら、機能同士がつながるようにするためには、つながり方のルールをあらかじめ設定しておかなければならないからである。それぞれの機能を担当するモノは、技術や環境の変化によって次々にそのカタチを変化させる必要がある。しかし、つながり方のルールは変えることができない。なぜなら、つながり方のルールを変えてしまうと、それまでに開発されたあらゆる機能がつながらなくなってしまうからである。一方でつながり方のルールを確定することによって、各々の機能単位をつくる人々は仕事を進めやすくなる。なぜなら、製品の機能がそれぞれ独立していれば、ある機能をつくる人々が他の機能のことを考えずにモノを作れるようになるからである。
ある機能をつくる人々は、製品設計のルールに従っている限り、それぞれが自由に機能単位を設計し、それを生産することができるようになる。
また、自由に色々な機能単位をつくれるようになると、そうした機能をつなぎ合わせて多様な製品を作ることが可能になり、製品に問題が発生した場合には、どこにその問題があるのかを発見しやすくなる。
慶應義塾大学総合政策学部 川村真哉